「量子コンピューティングで生み出す創薬の新たな世界」イベント前インタビュー動画をリリースしました!

 

デロイトトーマツは、近年注目を集めている量子コンピュータに関する企業向けの支援や、国内における取り組みの活性化を目指しています。その一環として、2024年2月13日に「量子コンピューティングと創薬」をテーマにしたカンファレンスをDeloitte Tohmatsu Innovation Park Room D Auditoriumで開催する予定です。 

イベントに向け、皆様に創薬における量子コンピューティングの活用について少しご紹介するために、専門家の寺部雅能さんと多知裕平さんを招いて、Innovation Park施設内にあるMedia Studioにてインタビューを行いました。 

そのインタビューの一部を収録した動画がこちらです。

量子コンピューティングで生み出す創薬の新たな世界 インタビュー@Deloitte Tohmatsu Innovation Park (youtube.com) 

以下インタビュー全文 

(事務局)今回のイベントを開催するに至った背景と、イベントの全体像についてお聞かせいただけますか?特に、量子コンピュータが創薬の分野にどのような影響を与えると予想されるのか、その点について詳しくお伺いしたいと思います。 

(寺部)量子コンピュータはこれから世の中を大きく変え、大きな産業をもたらすと言われております。中でも量子コンピュータの本命領域と言われているのが創薬です。このイベントでは、世界最大の量子特化ベンチャーキャピタル代表や、世界トップレベルの技術を持った海外量子スタートアップたちが登壇し、業界のトレンドをお話しいただく他、国立がん研究センター東病院副院長の吉野先生から、創薬での量子コンピュータの必要性をお話し頂きます。このイベントを通じて、日本の製薬企業の方々が量子コンピュータという技術に踏み出すきっかけになってくださればと思います。 

(事務局)なるほど、非常に興味深いですね。 

 

(事務局)それでは、創薬の分野における現状の課題は具体的にどのようなものがありますか?また、その課題がどの程度の時間や費用を創薬のプロセスに要しているのか、その点についてもお教えてください。 

(多知)創薬における課題は、1つの医薬品を世の中に出すためにかかる研究開発の時間と費用にあります。2010年の調査では、1つの医薬品当たり、全体で約1800Mドル(2600億円)、約13.5年かかると言われています。 

(事務局)非常に深刻ですね。そのような課題が量子コンピュータの導入によって、どのように解決される可能性があるのでしょうか? 

(多知)量子コンピュータによる課題解決では、コンピュータ上で医薬品を研究開発するアプローチを高精度かつ高速に実行することができます。 

これにより、医薬品のスクリーニングなど高コストで時間のかかる実験をコンピュータにより代替することで、課題となっていた時間やコストが短縮されることが期待されています。 

(事務局)よくわかりました。 

 

(事務局)現在、量子コンピュータを用いた創薬の分野で具体的にどのような取り組みが進められているのか、その最新の動向についてお教えいただけますか? 

(多知)本格的な応用はまだ先になりますが、世界の製薬におけるトッププレーヤー達は、量子コンピュータが実用化された時に備えて、その恩恵をいち早く享受する目的で、戦略を練り、体制を構築した上で、初期検証をはじめています。例えば、ある製薬企業では、「医薬品のターゲットへの結合力の評価」が、効率に大きく影響するだろうという考えのもと、当該領域での実証を推進しています。 

このような検証により、将来的に自社における活用余地はあるのか、それはどのような領域なのか、といったことを見定めているような状況です。 

(寺部)最近の話題として、アメリカの病院が量子コンピュータを院内に設置したり、イスラエルの病院も量子スタートアップと連携したイニシアティブを立ち上げると言った、医療界の動きが活発化してきています。これから益々盛り上がっていく分野になりそうです。